H16年4月〜   工房建築日誌

念願の工房です。自分の備忘録として掲載することにしました。ちょっと重いページです

3月  設計開始  決して十分な大きさではないけど、なんとか敷地内でというのがコンセプト。
 何といっても通勤時間ゼロ。
 測ってみると24uぐらいだったけど広めのロフト(中2階)をつければまあ
 なんとかなるということで本格設計を開始。
 工法はポリテクセンターで習った従来の「軸組み工法」としました。
4月上旬
基礎工事のはじまり  「家庭菜園」スペースが犠牲になりましたが家族も了解。
 写真はすでに植栽を別の場所に移動したあとです。
 地面をある程度平坦にしたあと、「ベタコン」という一面にコンクリートを敷きつめる
 基礎にします。
基礎工事  「ベタコンといっても荷重のかかる周辺部は深めに掘っておきます。
 ベタコンの厚みは約12cm、周辺部は20cm程度の厚みになります。
 このあとにワイヤーメッシュと呼ばれる鉄筋で編んだ網を敷き詰めてからコンクリートを
 流し込みます。
 
コンクリートうち  コンクリートを流し込んだところです。天場を均したのはもちろんプロの方です。
 周辺に見えている杭と板は直角とレベルを示すもので、大工さんと私が施工しました。
  ところどころに黒い点のように見えるのは、大地の通気孔です。コンクリートでフタを
 してしまうので「息」ができるようにということなんです。
 これをしておかないと不幸に見舞われるとか。
 周辺部にはあとで積むコンクリートブロックのために鉄筋を立てておきます。
4月上旬 基礎ブロック積み  ブロックを正確に積むためにまずコンクリート面に墨付けをします。
 このとき大工さんはアルミ製の大矩(おおがね)を使っていました。
 換気口が要るのでコンクリートブロックを2段積みです。
 でもあまりFLを高くしたくなかったので
 半分の高さのブロック(ヨーカンという)を下に置きました。
 ブロックの穴にはモルタルを詰めますが、柱がこない箇所にアンカーボルトを
 挿しておきます。
 コーナー部には鉄筋を90°に曲げて埋め込みました。

5月上旬
木造り開始  連休明けに木材の一部が納入されました。
 工房は従来軸組み工法で建てますが、内部からその木組みがすべて
 見えるようにします。そのため柱はもちろん、桁、梁、ささら、垂木に
 いたるまで目に見えるところはカンナをかけます。
 もちろん美観もありますがカンナがけしなかったらホコリが付着しやすいからです。

 写真は大型電気カンナ(5寸幅)をかけた材料の一部です。
 カンナがけすると、家具にしたいぐらい綺麗なので完成後には全部オイル
 フィニッシュしてその感じを維持したいと思っています。

 中2階つきの建物ですが構造的・強度的には一般の2階建てと同等にします。
 桁、梁、胴差なんかは4寸x8寸や4寸x7寸を使います。
 それから縦方向には1本も接ぎません。その手間より最初から長いもの
 にしておくほうが経済的で強度もあるからです。
 写真の最も長いものは23尺(約7m)。
 ちなみに柱は檜、桁、梁は米松(ピーラーも含む)を使います。  
 これからいよいよ「きざみ」にはいります。
5月中旬 きざみ(1)  墨付けは棟梁です。とんでもなく早くて正確。プロの技を目の当たりにしました。
 頭の中にすべて入っているんですね。
 木表・木裏・元・末はもちろん材料の収縮、カンナでの仕上げしろなんかも
 見込んで墨付けしています。
 
 目からウロコは、ノコ引きはすべて電気丸ノコを使うということで、
 棟梁はあざやかに丸ノコを操って1分とかからずに腰掛アリ接ぎの
 男木を仕上げます。定規類も一切使いません。
 ネジレが出やすくて遅いから手ノコは使わないそうです。
 大入れ部は溝きりカッターを所定の切り込みにして数回走らせます。
 あとは隅をノミで仕上げて完了。大入れルーターを使わないのは
 は段取りと取り回しが大変だからだそうです。

 ここで棟梁の口癖
 「建具屋や家具屋は機械・道具に材料を持って行くが、
 大工は材料に道具・機械を持っていく」 これ鉄則。
きざみ(2)  ほぞ切りはすべてほぞ切り機を使います。再現性と速さのためです。
 M社の年代物の機械でしたが、ポリテク時代の友人I氏とK氏の名コンビに
 お任せしました。 
 ホゾ穴彫りは私の担当で全部友人K氏の角ノミ機で行いました。
 ま新しい30mmの角ノミ刃で彫る檜材の香りが最高でした。
 垂木(タルキ)も部屋内部から見えるので全面カンナがけしましたが、
 電気カンナとは言え本数が本数だけに相当ハードな仕事だったようです。
 前述のIさん、Kさん本当にお疲れさまでした!
 こういう作業はやっぱりキッチリと環境(特に作業台の高さ)を整えてから
 やったほうがいいネという貴重な教訓を得ました。
 
足場の架設  一方、足場は安全第一ということでプロに設置してもらいました。
 3か月レンタルでウン万円とまあまあリーズナブルか。
土台伏せ(1)  いよいよ土台をブロック基礎の上に固定します。
 まず、ブロック上に墨を打って土台を敷くラインを出します。
 アンカーボルトは適当に立っているだけなので、現物合わせで
 土台に穴の位置を墨付けします。穴は十分大きめにしておきます。
 ナットを締めてレベルを見ます。ここで問題が発覚しました!
 今回は土台と根太をツライチにしてフロアーを張るので、
 土台の水平が大切になります。ところがブロック基礎の上端レベルが
 出ていないので、土台の上端を削ることになりました。
 土台の横ヅラに水平の墨を打ってあとは電気カンナで。
 これでばっちりです。この辺は棟梁の仕事でした。
 スペーサーでの調整は一時しのぎにしかならないのでダメと棟梁。
土台伏せ(2)  土台に対して根太を大入れしようということになったので、
 みんなで1尺ピッチで2寸x2寸の穴彫りを実施。
 そのあとクレオソート防腐剤を塗布して終了。

 土台の敷設には、レベル出しからクレオソートまで、応援に来てくれた
 ポリテク時代友人M氏が大活躍してくれました。

 これで上棟の準備ができました。
5月22日 上棟

棟上げについては特集にしておりますのでこちらをご覧下さい

5月下旬 内外装(1)  <すじかいと壁張り> 
棟上げが終わってまずやったことは、1階、2階のすじかいの
 取り付けです。材料を直接に取り付け部にあてがって間柱に
 クランプしてすじかい材と間柱に墨付けします。
 あとはすべて電気ノコで切ります。斜めにする方向は
 棟梁の経験から西風に対抗する方向としました。

 内壁はコンパネのみとなるのですが、そのコンパネは胴縁
 (どうぶち:40mm幅、15mm厚檜材)と呼ばれる桟の上にフロアー釘で
 打ち付けます。
 その胴縁は各柱に胴縁受けという1寸角の杉材を打ち付けてから
 その上に張ります。
 コンパネは電気丸ノコで真っ直ぐに切るために専用の治具を
 使いました。
 今回は柱が見える壁(真壁)にしてクロスは貼らないので隙間
 のないようにコンパネを柱間に張ります。(現物合わせしました)
 このコンパネには亜麻仁油を塗る予定です。
 
 <2階の床張り>
 910x1820のコンパネを部屋の中央から張っていきます。
 フロアー釘という頭が小さくて螺旋の釘を打ちました。
 さらにコンパネの上にフローリングをはります。
 フローリング材は6枚で一坪となる例の四方とも本ざね
 加工しているやつです。今回ヤフオクで仕入れました。
 フローリングは最初の一列を墨線にピッタリ合わせる
 ことが出来栄えに最も影響するようです。
 
 写真は2階の壁と床を張り終えたところです。
 フローリング材は左側から右へ貼っていきました。
 手前に見えるのは吹き抜けです。小型ホイストを付けて
 品物を上げ下ろしします。奥に見える穴には梯子が
 かかります。

 順序として、まず2階と屋根をある程度仕上げてから1階の
 仮すじかいを外しつつ1階にとりかかることになります。
内外装(2)  <破風板と屋根の仕舞>
 破風板(はぶいた)取り付け:プレーナーをかけた7寸幅の杉板です
 屋根の仕舞:ワインレッドの屋根に合わせてまず茶色の鉄板で
 屋根の縁を回り込むように張っていきます。
 この辺は屋根屋さんにお任せしました。
内外装(3)  <窓枠、出入口の仕舞>
 窓枠:写真は檜材の窓台を下から見たものです。昭和ボルトで
 固定しています。昭和ボルトとは片側が木ネジ他方がボルトと
 いうもので私もはじめて知りました。窓台だけではなく、窓の上側
 (まぐさ)や出入り口にもこの方法を使っています。
内外装(3)  <軒下の仕舞>
 垂木の並びが綺麗なのでそのままでもと
 思ったのですが、やっぱりコンパネは湿気に弱いと棟梁に
 言われて垂木に5mm厚の白い珪カルボードを張りました。
 破風板と鼻隠しに5mmの溝をついているのでこれに
 差込みつつ エアーホッチキス(タッカー)でとめます。
 助っ人といっしょにやりましたが「大変」でした。
 なお写真の四角い枠は換気扇用のもの(内寸1尺)です。
内外装(4)  <電気工事>
 工房には100V40Aの元ブレーカーと10回路の
 枝ブレーカーを付けるほか、3φ200Vの敷設も
 お願いしています。写真は基礎のブロックと土台のところに
 電線が這っている様子です。
内外装(5)  <屋根ふき>
 屋根はワインレッドのカラーベストです。あまり出ない色らしく
 ちょっと納期がかかりました。面積が小さいのでカラーベスト作業は
 1日で終わりました。

 庇(ひさし)の製作
 大工さんの気合がこもった造作物です。
 詳細はこちらにまとめています。


内外装(6)  
 <採光窓>
 写真は15mm厚のステンドグラス風のペアガラス。
 これを2階東側(妻側)外壁吹き抜け部に2枚を1対として
 はめ込む予定です。大きさは約1650mmx500mm。
 住宅機器展で見つけました。
 採光が目的ですが、少々派手かも。
 どう納まるのか、、、楽しみです。
内外装(7)  <外壁用の胴縁>
 ご覧のような1寸角材を約30cmピッチで横に張って
 いきます。75mmの釘で柱や間柱に打ち付けます。
 屋根下の部分とか窓のところは結構手間がかかります。
 この作業は私を含むポリテク3人組で行いましたが、
 「参りました!」。
 
 これを頼りに外壁用のトタンを張ることになります。
1階の床(1)  <大引き、根太>
 まず3寸角(90mm)の大引きを段欠して基礎のブロックに
 かけます。
 根太は2寸角(60mm)の檜材を1尺ピッチで土台に
 差し込み(大入れする)ながら大引きに釘打ちします。

 そのあと、写真には写っていませんが水糸を張って
 水平をチェック(車用のジャッキを使いながら)しながら
 床束(ゆかづか)を大引きの下にかませます。
 床面全体を予め凹面気味にしておくのがコツだそうです。


1階の床(2)  <床下地張り>
 2階同様910x1820mmのコンパネをエアー釘打ち機で
 根太に張ります。
 コンパネはきっちり14.5枚、つまり14畳半ですね。

 この上にフローリングをはることになります。
全景−1  棟上から1週間でここまでできました。早いでしょう。
 文字どおり額に汗して頑張った助っ人(まあ私も含めて)の
 おかげです。
完成!  1階のフローリングをはって、
 外のトタン壁を張って、トユを付けて、
 足場をはずして、
 これで完成です。
 一番最初に行なったカンナがけから1か月たらずでした。

 右の写真は敷地の外から撮っています。
 これが工房の裏側になります。
 右側の壁面にステンドグラスがちょっと見えています。
 2階に扉がありますが、ここから外に出て赤屋根の上で
 ちょっとした作業をするつもりです。
 なので赤屋根の勾配はゆるめ(2寸勾配)にしています。
 
最後に
 それでは工房内部の様子をご紹介しましょう。こちらです