庇(ひさし)作りコーナー

 1間半の庇を入り口の上に付けますが、大屋根がその上にあるので雨よけというよりは
 装飾的要素が大きいかも知れません。

 まず、写真のように右に張り出す腕(105mmの檜柱を流用)を取り付けます。
 柱にホゾ差ししてM12のボルトで固定しますがこのボルト「込み栓ボルト」といって
 ちょっと変わっています。ナットと座金は写真にもある腕の角穴に納まりますが、
 実はボルトの頭が「輪」になっていてその輪の中に12mmφの鉄の丸棒を柱側
 から入れ込むかたちになります。これでナットを締め上げれば、腕が柱に
 密着することになります。

 写真手前の腕はいわゆる「けらば」になるところです。完成写真を見れば
 一目瞭然です。
 
 上記の腕に、垂木かけと貫きを取り付けて、垂木を釘打ちします。
 勾配は2寸です。(10いって2あがる)
 さきほどの「けらば」がよくわかりますね。
 垂木の外周に広小舞(ひろこまい)と呼ばれる枠をすべて留め(額縁の4隅の形)
 で納めます。
 その上に杉板を張って、さらにその上にコンパネを張って屋根屋さんに
 バトンタッチします。
 屋根屋さんはまずコンパネの縁に茶色の鉄板を貼って、庇の上面全体を
 同色の鉄板でふきます。
 これで完成です。いかがでしょうか。端材を利用した棟梁の力作です。
 太い腕と杉板の木目が印象的だと思っています。

 棟梁はもちろん図面なんかなしで、私がプレーナーがけした適当なサイズの材料を
 寸分の隙間もなく、曲尺1本でさりげなく見事に作り上げました。
 プロの技を見させてもらいました。