棟上特番

何といっても家作りの花形は棟上げでしょう。同時に緊張と感激のときでもあります。
いやあみんな楽しみながらも一生懸命がんばりました。そのおかげで素晴らしい達成感を味わうことができました。
それでは順を追ってご紹介しましょう。
H16.5.22先勝

通り柱の中間部です。2階建て仕様になっているので4隅には2階の梁まで届く柱を使います。通り柱は4寸角(12cm)で通常の柱3.5寸(10.5cm)より太めにしています。写真のほぞ穴に桁と梁がささってそれぞれM12のボルトで緊結されます。なお桁は8寸(240mm)、梁は7寸(210mm)です。
これが桁(けた)の仕口でいわゆる男木(おぎ)になる部分です。上の通り柱に連結されることになります。丸穴にはM12で長さ240mmのボルトが通って四角くみえてる穴に座金とナットがおさまります。
桁に加工した「大入れ蟻掛け」の部分。2階の床下の梁(ささらと呼ぶ)がこれに連結されます。
これが上の写真に連結される「ささら」です。上下が逆になっていてわかりにくいですね。これもM12のボルトで(穴が見えますね)桁と緊結されます。
今回はこの部分も丸見えになりますので、ちょっときついめに墨付け/加工しています。なのであとで出てきますが桁に入れるときはいちいち玄翁で木殺ししてから「かけや」で思い切り叩き込みました。
さていよいよ木組み開始です。
ここで、この日の職人?の面々を紹介しましょう。
もちろん棟梁はプロの宮橋さん、ラジコンでユニッククレーンを操つる研谷さん、材木屋さんの長崎さん、それからポリテク時代の助っ人の4人(稲葉さん、南さん、勝谷さん(女性)、能勢さん(女性))、それに私と家内です。

まず1階の柱を全部立てます。ホゾ穴にあわせて上からカケヤで叩くだけなのでこれは簡単です。が、うまく叩かないと上部のホゾが変形するのでそれなりに気をつかいます。機械でホゾ加工したとはいえ心地よいはまり具合でした。胴付き面もぴったし。長い通り柱だって差し込んだら動きません。
ごらんのように今回はクレーン車が大活躍。ラジコンなのでかゆいところに手が届いてらくらくです。
写真の奥が現場ですが、右側に家(自宅です)があってやりにくい場所ながらさすがにプロの技を見せていただきました。
桁(正確には胴差し)がのっかるところです。まずは片方の通り柱に差し込んでボルトで仮留めしてからカケヤで順番に柱をさしこんでいきます。最後に他方の通り柱のホゾに突っ込んでボルトで留めます。同様にしてもう片方の桁も取り付けます。


こちらは梁を差しているところで、まさに片方の通り柱にささったところです。要領はさきほどの桁と同様です。水色のシャツを着た人がラジコンでクレーンを操作しています。
下の写真は、桁と梁が通り柱に結合された状態です。
つぎに、2階の床下を支える梁(これを「ささら」といいます)を差し込みます。前述したように、ささらは桁に対して大入れ蟻掛けという仕口で木殺しして接合します。写真手前は宮橋棟梁です。両サイドの桁の上から息を合わせてカケヤで叩き込みます。この部分も部屋の中から丸見えにする(天井をはらない)ところなのできざみのとき隙間などないように細心の気をつかったところです。作り手の腕の見せどころですね。このあたりは指物と共通するところです。
なおカケヤの振り手は棟梁の他、おもに南さんと稲葉さんに奮闘していただきました。
1階部分ができたところで2階の床に作業をしやすいようにコンパネを置きました。
2階もまず全部柱を差してから桁や梁を取り付けます。写真はすでに手前側の桁の取り付けが終わって向こう側の桁材を入れようとしているところです。
さてこれからは小屋組みになります。だんだんメインイベントが近づいてきました。
梁の上端に小屋束(こやづか)という縦の部材を差して、その上に母屋(もや)を叩き込みます。
写真は、母屋のなかでも真ん中の一番高い所に来る棟木(むなぎ)をのせているところで、つまりムネアゲをしているところです。カケヤを持ってポーズしているのは.....私です。高所作業、ちょっと恐かったです。
棟があがったところで、仮すじかい(写真でクロスしている部材)で建物を垂直に保持します。下げ振りを使って柱長さに対して±5厘(0.75mm)以内に納まるようにしました。1階が済めば2階も同様に仮すじかいを固定します。
次に、垂木(たるき)を釘打ちします。60mm角の檜の垂木も裏から見えるのでカンナがかかっています。この上に3尺x6尺のコンパネを張ることになるので垂木は1尺ピッチで取り付けます。


彼女は火打ち梁(ひうちばり)のボルトをとめています。高い所もなんのその、頼もしいですね。
下の写真はその火打ち梁(3寸5分:105mm)の納まりの様子です。
垂木の上にコンパネを張ります。コンパネは910x1820mmx12mm厚のいわゆるサブロク板です。裏表を間違えないようにエアーガンで釘止めします。ちなみにコンパネは材木屋からではなくホームセンターから仕入れました。


コンパネ屋根を張り終えたところです。この上にルーフィングをホチキスでとめてカラーベストをのせる計画です。上の写真は工房横にある建物のベランダから撮っているので1階部分は隠れています。

屋根裏から見たのが下の写真。さきほどの小屋束や母屋、棟木、垂木が見えます。今回は天井を張らないのでこのままとなります。
棟梁も驚くほど進行が早く、間柱(まばしら)も入り口や窓のところ以外はすべて取り付けが完了しました。写真で910mmピッチで立っている太い柱の間に立っている細い柱が間柱です。この間柱を利用して外壁と内壁の部材を取り付けることになります。
一応、カラーベストを載せるまではブルーシートをかぶせておきます。
これで今日は終了です。天候もよくて予定以上のことができました。何よりも楽しく安全に作業できたことが最高でした。お疲れ様でした。そしてありがとうございました。