仕様の決定 |
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<依頼主(家人)の要望>
・背もたれ有りのベンチ
・食卓の甲板幅と同じ長さ ∴120cm
・座面の高さは39cm
・後ろ側に深さ20cmの引き出しを2杯つける
・樹種はタモかナラ
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デザイン |
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このようにちょっとカントリー風です。いつものようにCADを使いました。
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作業手順決定 |
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これからの手順や段取りを決めます。複雑な作品になればなるほど、これが出来ばえと作業時間に必ず影響します。
1.まず脚部からとりかかる
2.そのつぎは背もたれの部分
3.最後に引き出し部と座板
つまり座板の木取りは1と2の仮組みが終わってからはじめて行います。
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荒木取り |
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スライド丸ノコで原材料のタモ板材を切断しています。厚さ45mm、幅が30cmともなるといっぺんに切るとノコ刃が止まるほど抵抗を受けて危険ですし焦げ目もつきます。こんなときは切り込みを徐々に深くしていけば問題もなく切断できます。そのためにも材料はしっかりクランプしておきます。 |
木取り |
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後ろ脚は背もたれの部分が斜めになっているのでバンドソーを使います。もちろんテーブルソーで斜め切りの治具を併用すれば可能ですが、安全性が月とスッポンほど違います。
鉛筆の墨線の外側を狙います。慣れればフリーハンドでOKです。どうせ後で鉋がけします。
向こうに見えている机はバンドソーのテーブルとツライチになっています。これによって長い材料でも楽に挽くことができます。
タモ材で40mm厚ともなれば3/4インチぐらいのブレードでなければ垂直に挽きにくくなります。私はTimber
Wolf を使っています。
なおバンドソーで挽く前に、手押し鉋盤での基準出し、自動鉋盤での厚み出しをしてあります。 |
木取り3 |
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後ろ脚が2本採れました。どこを切ったのかわかるようにして撮影しています。
ちなみに長さは約90cmです。
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部材の固有化 |
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この段階で、すべての部材を”固有化”します。固有化とは私の勝手な言い方ですが、たとえば
・左脚か右脚か 、 上か下か (家の柱と同じで、その樹木が立っていた方向を意識します)
・見つけ(目に見える側 or 正面)をどの面にするか
・木づくりするときの基準面を決める
・その他
これらの情報は自分がわかるように直接木に印をしておきます。
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墨付け |
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墨付けといっても使うのは鉛筆またはシラガキという刃物です。
写真は4本の妻手幕板(妻手とは長方形の短い方)をまとめて線を引いています。
同じ長さにする必要のあるパーツは必ずまとめて墨付けするのが大鉄則です。
この段階で、切断するところ、ホゾにするところなど必要な線をすべて引いておきます。
私は2Bから4Bのシャープペンシルを使います。先の丸くなった鉛筆は絶対にダメですぞ。
写真のクランプですが、仕事が速いし相手にキズをつけないし、おすすめです。 |
木づくり1 |
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先ほどの後ろ脚の斜め部を鉋がけしています。 |
木づくり2 |
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ホゾの穴あけ
後ろ脚にホゾ穴をあけています。ノミは4分(12.7mm)。
対になる部材とか同じオフセットで穴をあける部材は、角ノミ盤の前後調整をそのままで穴をあけてしまいます。
絶対値の正しさより、同じ位置に穴があいてることのほうが重要です。 |
木づくり3 |
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ホゾ加工
これについては、いろんな方法や治具があります。オーバーにいえば木工のひとつの醍醐味といえるかもしれません。
写真は、テーブルソー(BT3100)で横切りをしょうとしているところです。ブレードは切り込み深さだけ出しています。
拡大写真で見えると思いますが、テーブルソーの木製刃口板(英 : throat
plate)に細い線をナイフ+鉛筆で入れてあります。
この線に材料の墨線を合わせて切ります。
非常に単純ですが、これによって墨線の外側、内側、真ん中のどこを切るのかコントロールすることが出来ます。
なお、写真でもわかりますがマイターゲージの材料と接する面にはサンドペーパーを貼り付けています。
これがないと切ってる最中に材料が逃げてしまってダメになります。 |
木づくり4 |
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ホゾ加工
バンドソーで縦挽きしています。
あとで際鉋やノミで調整するのでほんの少し大きめに切ります。
テーブルソー、あるいはルーターでも治具を使って同じことが出来ます。どれを採用するかはケースバイケースです。
バンドソーでの作業はずば抜けて安全なのがいいです。 |
ホゾの調整 |
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腕力でなんとか入るぐらいがいいと思います。
ホゾのオス側は最終段でゲンノウで木殺ししますが、それなりに均一にたたかないとまっすぐに入らなかったりします。 |
木づくり5 |
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脚の最下部です。バンドソーで挽いてから鉋がけしました。 |
木づくり6 |
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座面を支える幕板同士を部材でつなぐときの仕口です。こういう場合は蟻形にしておくと引っ張りに強くなります。
今回はオス側に胴つき面を持ついわゆる”蟻かけ”にしました。
手ノコとノミで加工しましたが、大きな部材のときは角ノミ盤であらかた彫っておく場合もあります。 |
調整 |
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その幕板をつなげたところです。 |
木づくり完了 |
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手前に置いているのは1mのスケールです。
これらを仮組みしていろいろチェックします。
次は仮組みです..... |
仮組み |
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あとで実際に接着するためのリハーサルも兼ねて順番に注意して仮組みしていきます。 |
仮組み |
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ホゾの胴付き面の隙間や各部の直角をチェックします。問題があれば必ずメモして修正します。
写真にはありませんが、軽くクランプしてからチェックします。 |