☆ 遥かなアルヘシラスへの道のり Algeciras


アルヘシラスはイベリア半島のほぼ最南端にあります。そう、眼前の明石海峡のようなジブラルタル海峡を渡ればアフリカです。

セビーリャバスセンターを後にして、まずシェリー酒のふるさとヘレス・デ・ラ・フロンテーラに向かいました。国境のヘレスとでも訳すのでしょうか?
スペインは鉄道より高速道路が発達しているので、ほんとうにスムーズに移動できます。しかもアンダルシアの一部を除いて無料ときてます。
バスも立派で快適です。車中では運転手さんが我が車のように、彼好みの音楽をのべつならしてくれます。

アンダルシアパスというバス乗り放題のチケットもあるので、スペイン南部を徹底的にというときにはお勧めです。

ヘレスのバスセンターは国鉄(renfe)の隣にありました。
ここでは昼食をいただくのが目的ですが、
なにはともあれ、アルヘシラスまでのバスチケットをまずゲットしました。

セビーリャに勝るとも劣らない暑さでしたが、ギターケースを担いでよく歩きました。
途中で迷いそうになりながらも、目的の広場にたどり着いてバル(レストラン)へ。
当然、シェリー酒をと思いましたが昨夜タブラオでいただいたし、喉がカラッカラなので大きなジョッキのビールにしました。
料理はパエリャとかいろいろ。丸い大きなパンが2つ無条件に出てくるのが予想外で、おなかパンパンに。
「充実した食事やったね」 、 「ホンマに優雅なひとときでしたねぇ」。


またバスセンターに戻って、目的地アルヘシラス行きに乗りました。今度は上等ではないバスでした。席も自由です。

途中で思いもよらなかった美しい村に停車しました。それは山の頂上、それも断崖絶壁の上にありました。
あとで下の写真を見てください。

さて、音楽を鳴らしながら機嫌よくバスは走ります。そしてウトウトしかけたとき、突然
ボッカーンという爆発音がバスの前輪部から聞こえたと同時に白い煙がボワッと窓の外に流れていくではありませんか。
もはやこれまでかと腰が抜けるほどびっくり。でもバスは依然として走っています。
前の座席でいちゃついていた中年カップルもやおらパニック状態です。
「何だ?!」「パンクか?」「それにしてはバスは走ってるしなあ」「前輪がダブル?」「そんな車あるか?」
運転手さんが小声で何かアナウンスしたとF君がいいますが、自分にはかいもく聞こえませんでした。

バスはあまりスピードを落とす風でもなくそのまま走り続けます。

そして山を下ると海が見え隠れしてきました。地中海です。
ほどなくバスはアルヘシラスに到着しました。

降りてから前輪とかをチェックしましたがどうもないようです。
「コンプレッサー系の圧力タンクやろう」ということにしておきました。


この白い村、アルカラ・デ・ロス・ガスーレス という名前でした。
バスが停車したとき窓越しに撮りました。

携帯でも同じ写真を撮って送ったら「きれいな町に泊まるんやね」って返事がきました。それだったらよかったのですが・・・・


☆ アルヘシラスは恐かった

さてみなさん(浜村淳さんの調子で)、夢の国アルヘシラスのお話です。

バスは神戸港を思わせるコンテナの積み出し港をひたすら走って停車しました。
ああ無事着いたかと下車して「うわぁ潮風ぇ、気持ちいいねえ」とか言いながら、あしたのグラナダまでのバスの切符を買おうと
売り場に直行・・・・したのですが
それがないんです。どこに行ってもアフリカ大陸の「セウタ」行きの切符売り場ばっかり。
「あれぇ、ちょっとおかしいな」
どうやらひとつ前のバスストップで降りたようです。終点のバスターミナルで降りなきゃいけなかったのに。
あらためて回りをみるとほとんどの人がアラブ/アフリカの顔をしています。そういう目で見ると社会的・政治的・経済的問題を背負った雰囲気もありありと。

「歩こう。どうせすぐやろ」 と元気に歩き出しました。地図もあるし。
ところが通りを行っても戻ってもバスターミナルはありません。
名著「地球を歩く」もおびただしい情報のひとつひとつまで、すべてアップデートしきれていないのでしょう。
今回の旅では何度かこういうことがありました。大切な事柄は「ウラ」をとっておくのが賢明といえましょう。特にこんな地方都市はなおさらです。
(特に地図は、googleマップのほうが新しいのでずっと信頼できます)
しかもその通りときたら、町でいちばん洗練されたところなのにどこか胡散臭くてデインジャラス。平たく言えば「怖い」のです。
あのマドリッドよりさらに腰が入っています。

こういうちょっと困ったときの救世主は・・・「インフォメーションセンター」です。
これが不思議とけっこう整っているんですね。日本とはちがいます。
それに気がついた二人。地図をみながら、途中のキオスクで高〜い水を買って飲みながらテクテクテクテク。
港町特有の荒っぽさと風紀の悪さと臭気を無理矢理無視してやっとたどり着くと、そこはまるで大使館。おまけに掃き溜めに鶴みたいな
美しいセニョリータ

「グラナダまでのバス切符はどこ買えますか?」
「それなら、ここよ」と大きな地図を出してマークをつけてくれました。
「グラシアス!」(ありがとう)
「デナーダ」(どういたしまして)
「どこから?」 「ハポンだよ」
「日本語では『ありがとう』っていうんだよ」・・・
とかなんとか。
切符売り場、すなわちバスターミナルは国鉄駅のとなりにありました。そして無事明日のチケットを買いました。

バスの降り場を間違わなかったらなんてことはなかったのだけれど、なんとなくいい経験ができてこれはこれで良かったと思いました。


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タクシー車中でのこと

今夜の宿は、アルボラン・アルヘシラスというホテル。ちょっと町外れにあるのでバスターミナルからタクシーで向かいます。
そのタクシーの車中。よくみるとメーターを倒してないんです。思わず「メーター倒してないよ!」と指さして抗議しましたが、
運転手は平然と、「これでいいんだよ。知ってるから」みたいなこと云います。

「これは、ぼったぐられますよ」とF君。「領収書をよこせって云ったほうがいいですよ」
「領収書って・・・スペイン語で・・・・ええっと」電子辞書で調べて「よっしゃわかった」と準備しておきました。

ホテルに着きました。実は30ユーロまでは辛抱しようとおもってました。
運転手さん、「seisだよ」と云いました。
「えっ?60も?」 と一瞬おもいましたが、よく考えるとそれは「6」のことでした。
そして言いもしないのに領収書まで書いてくれました。
「領収書」っていう単語、聞こえてたんですね。

チップもはずんで、お互いに「グラシアス!」

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アルボランホテル

なかなかしゃれたホテルです。設備は万全、窓の外にはテーブルとイス付きのテラスもあったりして。
スーパーが歩いて数分。閉店間際でしたがセーフ。時計を見ると21時でした。
1ユーロで3缶買ってお釣りがくる安さ。発泡酒ではありません。れっきとしたおいしいビールです。
スペインは自治政府なので州によって税金体系もちがうのかも知れません。

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本当はここからちょっと足をのばしてアフリカ大陸が見える岬まで行ってみるつもりでしたが、どうもあの街の雰囲気はその気にさせませんでした。

それよりも、大切な懸案事項が発覚したので翌日の午前中はこれに時間を使いました。
旅の最終バルセロナではホテルではなくマドリッドみたいなアパートに3泊します。そして最終日は超早朝に空港に向かわねばなりません。
飛行機の時間は絶対にずらすわけにはいきません。

宿から空港まですごく遠いし、早朝のメトロの恐ろしさは推して知るべし、タクシーはマドリッドでの経験から、おそらくあてにできないだろう。
ということに気が付いたのです。

宿を変更しよう。まず・・・予約したアパートはキャンセルできるのかな?
ちょうどホテルにインターネットの設備があったので、2人していろいろ調べました。
まず、アパートはタイムリミットが過ぎていてキャンセルできないことがわかりました。1日早ければOKだったのに。惜しい!
とはいえ、行ってみたら案外なんとかなるかもしれないという希望も・・・あるものの、
最後日だけは空港に近いホテルに替わることもやっぱり想定していくつか候補を調べておきました。

さて、結末は如何に? それはバルセロナの巻でお話します。涙ぐましい物語です。


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