ロマニリョスさんが工房に招待してくれました 

〜 後編 〜

 ←このリュートやバイオリンもマエストロの
  手によるものです

このハカランダの横板、何と縦方向に  
つないでいます。  
で、裏側に板を貼って補強しています  
この方式で出来たギターを見ると、  
表側の継ぎ目にはきれいに  
パーフリングがしてありました → 

しばしのブレーク

CANONをぶらさげているのは
アンドレアス(ドイツ)です。
  しばらくして

「諸君! これはどうかね」と

御大が珍しそうな楽器を出してきました →
   
19世紀初頭のギターです
6コースの複弦ですね

まずハカランダの横板の深さにびっくり
緻密な貝象嵌、ヘッドも素敵
あの時代だからこそなお驚きです

表面板にヒビ割れがあるので弦は張れません
「修理しないでおいとくんだ」とか
  あっ、マリアンが手にしているのは・・・・・
  
  そうです アントニオ・デ・トーレス
  これを見た瞬間、庭にいた全員がまた家の中へ




  マエストロは実はトーレス研究の第一人者でもあります。
  その著作は各国語に翻訳されて出版されています。

  
ラベルのアップです

POR D.ANTONIO TORRES
ALMERIA
CALL REAL NUMERO
AN~O DE 1888

SEGUNDA EPOCA
No. 117

  トーレス作品番号SE117 1888年作  
スペイン南部、アルメリアの
レアル ヌーメロ通りの工房


ロマニリョス著の「Antonio de Torres」(佐藤忠夫訳)
によると、表面板は3枚の不揃いの松で、裏・横板は
あまり良くないシープレスとあります。

5本の放射状の力木の一部は
取り外されて別の場所に設置されているとも
書かれています。


アルメリアの小さい工房
灯明を頼りにせっせと仕事に励むアントニオに
心の中で言いました

『こんな洗練された仕事は見たことがありません』


おまけ

工房に訪問者のサインブックがありました。
2007年度製作講習というタイトルのページに、私も日本語を添えてサインしました。

ページをめくってみると前回までの講習会参加者らのサインもあります。
そのなかには日本の著名製作家や知人の名前もありました。


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