ギター製作工程 (2004年)

アマチュア時代の記録です。今となっては恥ずかしい写真や記述もあって削除しようと思いましたが、
参考になることもあろうと、残すことにしました。(2010.3)



おりしも工房建築の真っ最中であるが、平行してまずネックから作り始める。3台の仕様は以下の如くである。

型番 表面板 裏/横板 ネック 指板 ブリッジ 力木配置 ボディの形
CRM-1 ドイツ松:木目密 インドローズ
ホンジュラスマホガニー
黒檀 マダガスカルローズ オリジナル オリジナル
CRM-2 ドイツ松:木目粗 インドローズ ホンジュラスマホガニー
CRM-3 ドイツ松:木目密 マダガスカルローズ セドロ
☆3モデルとも構造は全く同じとして材料のプロパティによる音の違いをみる。

5月   <ネックの製作>
ヘッドのデザインも今回はオリジナル。
ネックと横板とのジョイントは、クサビで固定することで有名なロマニリョスの方式を採用しました。なおこの溝はバンドソーで加工しています。・・・定盤を傾斜させればできます。

→バンドソーでは切り口がシャープではないので、スライド丸ノコと胴付きノコを併用しています。(2006.2追記)


6月上旬 工房建築のため1か月お休みしていたが、やっと再開。

<表面板の接ぎ(はぎ>
前述の3種類のドイツ松をかるくプレーナーに通して表面をなめらかにしてから、木端を直線だしして接ぐ。接ぐ材料を本のようにたたんでから2枚一緒に木端面を鉋がけする。接ぎ面を光にかざして中央部がほんの少し隙間があくようにするのがポイント。
写真は2組を同時に接いでいるところ。接ぎ材が盛り上がらないようにクランプの下に合板をかませている。その合板と作業台の接着材が付着する部分にはあらかじめテフロンテープを貼っている。

<表面板にロゼットのはめ込み>  写真なし
接いだあとまずロゼットと呼ばれるサウンドホールの輪飾りをはめこみます。
今回は市販のロゼットを使います(*1)。サークルカッターで正確に内外周の切り込みを入れてミニルーターで彫ります。あとはノミで溝縁を整形してから当木をあてて接着します。
乾いたらカンナやスクレーパーでロゼットと表面板がツライチになるように削ります。

(*1) 市販のロゼットはこの時を最後に使っておらず、オリジナルです(2010.3追記)
<表面板削り>
実はこの作業がギターのサウンドの大部分を決定付けます。
まずバンドソーで型紙より大きめの瓢箪型に切り抜きます。
今回の表面板は5mm以上の厚みがありますが、これを3mm以下にカンナがけします。
それでここからが最も気を遣うところなんですが、弦を張るブリッジのところを最も厚くして、周辺に向かって徐々に薄くしていきます。(*2) さらに高音弦側を低音弦側より厚くするのがコンベンショナルな方法です。私は写真のように自作の厚み計で測定してはカンナがけします。
難しいのは絶対的にこれがいいという厚み分布がなくて、材料によってまちまちであるということなんです。すべての製作家はタッピングといって指で表面板を叩いてその音によって最適(と思われる)の厚みを判断します。
ただ、ロベール・ブーシェという製作家はすべて2mm厚として力木で調整したという資料もあります。
後ででてくる力木接着の工程でも行ないますが、タッピング音の音程も聞いてそれが通常使わない音程(例えばソとソ#の間とか)になるようにすることも重要です。理由はわかりやすくいうとある特定の音だけがウワーンといったり(ウルフトーンという、ひどいときは共鳴した弦がフレットに当たってしまう)、Aのコードだけがやけに響くといったことを防ぐためです。

今回は、2.65mmから1.95mmの範囲で厚さ分布をつけました。どこをどうしたのかはヒミツですが、これを材料の特徴やタッピングの感じといっしょにノートに記録しておくと貴重な財産となります。

(*2) 力木の配置によってはブリッジ部を周辺より薄くすることもあります(2010.3追記)



6月中旬 <表面板に力木接着>
 奇妙な写真が出てきましたが、これは竹の弾力を利用して表面板の裏にタコ足状の細木(これを力木:ブレイス、バスバーといいます)を接着しているところです。この治具はゴーバークランプ(go-bar cramp)と称すもので今回はじめて自作しました。思ったより操作簡単で接着具合もOKでした。

 ところで力木の役目ですが、@表面板の補強、A表面板の振動制御の2点があります。前者によって表面板を薄くすることが可能(つまり振動しやすくなる)となり、後者によってサウンドを味付けすることが可能となります。
タコ足の配置パターン(ブレイシングといいます)は作家の数だけあるといっても過言ではなく、またタコ足一本一本の幅、高さ、断面形状もまちまちです。この辺は科学的にも解明されておらず永遠の研究課題となっています。かくいう私ももちろん研究段階であります。前述したタッピングで聞いた結果を力木削りにフィードバックします。場合によっては完成したあともサウンドホールから手を突っ込んで力木を削ることもあります。バイオリンの魂柱に似かよっていますね。

 なお、タコ足のように末広がりにするのは、かの19世紀名工アントニオ・デ・トーレスの発案といわれ(*3)、以来ほんの一部の作家以外はフラメンコギターも含めて基本的にはこれにならっています。ユニークなものとしては格子状にしたりハニカム(蜂の巣)状にしている有名な作家もおられます。

 写真で茶色く見える台(以降 型板と呼びます)ですが、実はブリッジの位置を中心として3mmちょっと窪ませてあります。したがってこれに表面板を置いて力木を圧着すると表面板のちょうどブリッジのあたりがドーム状に膨らむことになりますね。これによって@弦の張力に耐えられる、A表面板に適度なストレスを与えてハリのある音が得られる。とされています。

<力木の整形>
 接着した力木やハーモニックバー(サウンドホール上下の横棒)は、所定の断面形状となるように削ります。今回のモデルでは力木は切り妻形、ハーモニックバーはかまぼこ形に整形します。私は、まず長さ2cmぐらいのミニ際ガンナやノミである程度整形してから、最終形状にくりぬいた型にサンドペーパーを貼ったものでサンディングして仕上げます。下の写真はその作業が終わったところです。ちょっと見にくいですが日付とサインもしています。

(*3)この記述は誤りです。トーレス以前にも例えばパノルモが採用しています。


<横板の曲げ>
 次は横板の工程です。厚さ約5mmの材料をまず木端面を手押しカンナ盤で直線を出した後(この面が表面板と接着されることになる)自動カンナ盤でひたすら削っていきます。最終的には2mmにしますのでその直前までカンナがけします。あとはスクレーパーやサンドペーパーで表面を整えます。

→現在は自動カンナ盤は一切使わずにドラムサンダーを使っています(2006.4)

 そこまで済めばいよいよ「曲げ」の作業に入ります。
写真はまさにインディアンロースの横板を曲げているところで、2枚(つまり一組)の横板が装置(自作です)にかけられています。ひょうたん型をしたボックスの中には100Wの白熱電球が5個入っていて、この熱が天板のステンレス板に伝わります。また上側からも白熱電球の入ったボックスが待ちかまえていて、太いネジで押さえつける構造になっています。ステンレス板は10分たらずで水をかけるとジュンと瞬時に蒸発するぐらい加熱されます。ここで水に浸しておいた材料をセットして上から押さえつけます。これでボディの「腰」の部分が曲げられます。あとは、バネ式のクランプなどを利用してひょうたん型に密着します。作業自体は10分もかからず極めてスムーズにいきます。
 注意するところは、材料の裏表/方向やセットする位置を間違えないことです。

 装置から外された横板は下の写真のように固定用治具に固定しておきます。
曲げ装置および固定用治具のひょうたん型は表面板と同じにしておくと、後での手作業による曲げ調整が楽です。


6月下旬 <組み立て : 表面板とネックの接着>
 ネックと表面板はお互いの12フレットのところを合わせて接着します。お互いの中心線がずれないようにしっかりと合わせます。
<組み立て エンドブロックの接着>
表面板にエンドブロックを接着します(写真)。エンドブロックの外周は横板のカーブと合致するように削ってあります。
<組み立て 横板のネックへのはめこみ>
 スペイン式ではネックヒール部に溝をついてそこに横板をはめ込みます。それに対してドイツ式ではネックとボディはアリ溝で接合されます。
私はいつもスペイン式で行ないますが、前出のネック写真にあるように今回はクサビを使って横板を固定します。(写真)このほうが確実に横板を固定することが出来ます。
このとき横板が浮きやすいので必ず表面板をスプールクランプ(写真の左下にちょっと見えます)で押させておきます。
<組み立て 横板を表面板に接着>
 ペオネスと称される小さな木片をライニングとして表面板と横板を接着します。(写真 上)
ひとつずつ接着材がある程度固まるまでじっと押えながら並べていきます。

下の写真はすべて貼り終えたところです。横板はスプールクランプなどでしっかりと固定させておきます。忍耐の要る作業ではあります。

このペオネスはバスウッド(シナノキ)から切り出しました。
→最近はマホガニーを使うことが多いです(2006.4)


<組み立て 裏板用のライニングを接着>
 この作業に入る前に平面の出た大きな板にサンドペーパーを貼ったもので、横板の上ツラを均します。これによって卵型にふくらんだ裏板がきれいに納まります。

 裏板用のライニングは上記のペオネスが帯状につながったものを使うので作業は極めて楽です。写真は既に貼り終えたところで、ごらんのように洗濯バサミでクランプします。
<裏板の加工>
 写真は今回の3枚の裏板です。すでに厚み出しをして、センターには補強材を貼ってあります。(補強材にそって貼っているのはマスキングテープです)
ローズ系の木材は硬いうえに逆目がおきやすいので、目的の厚み近くなるとカンナをスクレーパ(道具コーナー参照)に持ち替えます。ちょっとでも逆目掘れができると、アウトなんです。
<裏板の加工 力木の接着>
 裏板の場合は横に3本の力木を接着します。この力木の接着面ですが、3〜4mm湾曲して削ります。したがって裏板はドーム状にふくらんで強度が生まれます。

 接着後に力木の形状を整えます。上部はまるく面取りして両端30mm程度は徐々に高さが低くなするように(これをスカラップという)削ります。
<組み立て 裏板の接着>
 私は写真のように帯ゴムでぐるぐる巻いて接着します。(この写真は今回のギターのものではなく以前のものです)
 裏板を接着する前に、裏板の力木が突き当たる横板のライニング(上の洗濯ばさみの写真)の部分を切り欠いてすっぽりとおさまるようにしておきます。
なおギターを載せている台は表面板の膨らみ(ドーム形状)をくずさないようにまんなかが凹ませてあります。
 接着が終わったら裏板と表面板の端面を横板に合わせて奇麗に削りとります。このとき良く研いだ小刀が重宝します。
<バインディング、パーフリング溝の加工>
 ギターやバイオリンの外周には線状の象嵌が入っていますが、これの作業にはいります。
写真はトリマーで段欠きをした状態です。表面板上にパーフリングという細い棒が納まり、横板側にバインディング材が納まります。装飾効果もありますが、キズ防止のほか表面板や裏板の木口をふさいで湿気の浸入を防ぐ意味もあります。
バインディング材の厚みが2mm強あるので、写真のように横板の全厚が削り取られてライニングが露出します。

 下の写真は、バインディング材(2mm厚x6mm幅)を曲げた状態です。今回は3台ぶん12本を一緒にしてベンディングマシンで曲げました。色の濃いのがインドローズ、薄いのがマダガスカルローズです。
同様にしてパーフリング材(1mm厚x1.5mm幅)も曲げておきます。
 


7月上旬
<バインディング、パーフリングの接着>
 まず上の写真のようにボトムの横板合わせ目にはめ込む象嵌をバインディング材で作って、その溝を彫ります。
この象嵌は下の写真のようにバインディング材とラインがつながる様に上下とも45°におとしてから接着します。
 下の写真は裏板のパーフリングおよびバインディングを接着した状態です。写真はありませんが、接着時のクランプとして私は10mm幅のチューブゴム輪をたくさん使います。
この作業を裏表で4回繰り返します。
 はみ出た接着材をきれいにして、バインディングやパーフリングがギター本体とツライチになるようにカンナやスクレーパで仕上げます。

→最近は横板合わせ目に嵌め込む象嵌は横板接着時にいっしょに貼ります。またパーフリングやバイディングのクランプには3mmφぐらいのヒモを使っています。(2006.4)


<ヒールキャップの接着>
 写真はFクランプでヒールキャップを圧着しているところです。すでに上下ともバインディングが装着されています。今回はヒールキャップに白/黒/白の薄板をサンドイッチしてバインディングのラインと連続するようにしてみました。
<指板の作成>
 手押し鉋盤や自動鉋盤で指板材(黒檀)を両面フラットで端面は直角並行に削ります。厚さは6mm、幅70mm程度。木作りができたら墨付けをします。指板の幅は弾きやすさを左右するので慎重に決めます。、オーダーメイドギターならこの寸法を指定できる場合もあります。

 次はフレットの溝切りです。この作業、専用の丸ノコ刃(厚み約0.6mm)と治具として使うテンプレートを入手したので飛躍的に作業が楽になりました。指板をアクリル製のテンプレートに貼り付けて約2mm出したノコ刃で横切りするだけです。テンプレートには各フレットポジションに切り欠きがあってこれを付属のピン(これはマイターフェンズに固定:写真の白丸)に合わせることにより正確に位置決めできます。テーブルソーのクロスカット精度は必要。



<指板の調整、接着>
 指板の幅を墨線どおりに鉋で削って仕上げます。
 つぎに指板をネックにのせてみて弦高をチェックします。ナットやブリッジ/サドルは同寸法の部材をセットします。弦の代わりに直定規をのせて12フレットでの指板との距離を計って設計値であることを確認します。さらに指板の12フレットからハイポジション側の裏面を若干テーパー削りします。これは弦のビビリ防止が目的です。
 
 ここまでできたらいよいよ指板の接着になります。ボディーのセンターと指板のセンターをしっかり合わせた状態で接着します(写真)。クランプしたときの指板のズレ防止のためにあらかじめピンやダボで指板とネックを結合しておきます。

 


<フレット打ち>
 ワイヤー状のフレット材をニッパーで切って、1〜13フレットぐらいまでは木づちで叩き込みます。私は念のために接着剤を使います。さらに写真のようにクランプしてしっかりと納まるようにします。 写真の「分度器」はフレットと同じ高さにして指板をキズつけないようにするためです。 14フレット以降は木づちは使えないのでクランプだけで慎重に行ないます。右の写真ですが、クランプの裏側にも当て木をかましています。

 フレットを打ち終えたら、ニッパーではみ出した部分を切ってヤスリで指が引っかからないように(ひっかかると非常に演奏しにくい!)端を整形します。指板をこすらないようにフレットのきわにマスキングテープを貼って行ないます。

 
 
<ネックの整形、ヘッドの整形>
 ネックの厚さや断面形状は弾き易さにすごく影響します。
まずネックの木端面に所定の厚みなるように墨線を入れます。今回は0フレットで21.5mm、9フレットで25mmとします。カンナでその墨線まで削りつつ定規で長手の平面をチェックします。
つぎに、写真のように角を落とします。ちょっと変わったカンナを使っています。あとはヤスリやスクレーパで断面形状をあらかじめ用意した型紙に合うように整形します。

 ヘッドの裏側がネックとつながる部分は、鉛筆で墨線を入れて小刀で粗削りして丸ヤスリなどで仕上げます。

 ネック全体をサンディングして「こぶ」などないようにします。
<ブリッジの作成>
 テーブルソー(BT-3100)の精度を利用して、今回からブリッジ製作も半機械化しました。最終寸法に木取りしたブリッジ材がつらいちにそして隙間無くおさまる治具を用意して、この治具ごとテーブルソーにかけます。サドル用の溝、牛骨飾りの溝、弦を通す谷間など縦挽きできるところはすべて行ないます。それらの位置決めはBT-3100のリップフェンス(縦挽きガイド)の目盛りで合わせますが、あらかじめCADで出力した紙をスケールとして貼っておきます。
さらにクロスカットにて両サイドのウイング部の厚みを約4mmに切除します。
これで8割ぐらいはできてしまいます。なお、ノコ刃はサドル溝の幅(2.3mm付近)に合うものを使用します。
 あとはボール盤で弦穴をあけてウイング部などの整形をすれば完成です。


 
<ブリッジの接着>
 表面板は中央が少し凸になっているのでブリッジの裏側もそれにフィットするように削ります。
 ブリッジの位置決め精度はそのまま音程に反映されるので注意深く行ないます。このギターは弦長を650mmとして各フレットの位置を決めています。しかし押弦したとき弦張力があがって音程が高くなるのでこれを補正するためにブリッジに差し込むサドルの位置が652mmのところになるように位置決めします。この状態で一旦クランプしてサドルの溝から表面板を貫通する穴を2箇所あけます。この穴にダボを打って接着時のズレ防止とします。
 
 ふところの深いクランプでしっかりと接着します。裏側にもあらかじめ作っておいた当木をあてがいます。はみだした接着剤が表面板につかないようにマスキングしておきます。

 ブリッジが接着できたら、さあ塗装です。

→今は塗装してからブリッジを接着しています。そのほうが塗装がきれいにあがるからです。
ただ、塗装前にブリッジの位置決めピンの穴はあけておきます。

7月中旬 <塗装−1>
 塗装はセラック(Shellac)のタンポずりで行ないます。これを「フレンチポリッシング」といいます。ラッカーやウレタンに比べて非常に手間のかかる方法ですが、同じ鏡面仕上げでもコクとキレが違います。なんだかビールみたいですね。なおセラックはフレーク状のものをアルコールに溶かして使います。

☆ちょっと工程が複雑なのでここでは作業名だけ書きます。
 サンディング→パーフリングやバインディングの保護塗装→アンカー塗装→パミス(*1)による研磨と目止め→タンポ(*2)ずり→油抜き→水研ぎ→タンポずり→油抜き→コンパウンド等微細研磨粒による研磨。
これをギターの全箇所に施します。

*1)パミスとは軽石の意。砥石の粉のようなもので、アルコールに浸すと透明になる。これをタンポにつけてひたすらこすると表面研磨されて導管が埋まる。スプルース材には不要。

*2)てるてるぼうず。芯を入れて木綿生地(古Tシャツがgood)で包んだもの。芯はウールであらかじめセラックをしみ込ませておく。小は豆粒、大はビー玉程度。フレンチポリッシングではタンポにセラックとアルコールと油(私はオリーブ油)をつけて、割と強く抑えながら円運動や直線運動で何百回も擦り付ける。これによってセラックが角質化して極薄の鏡面膜ができる。写真の右端がタンポ。密閉容器で保管します。


☆フレンチポリッシングはちょっと慣れが必要ですが、知っているとあらゆる木工作品をピッカピカに仕上げることができます。いずれあらためてこのコーナーを設けますのでお楽しみに!
<塗装−2>
 塗装で難しいのは例えばネックと横板の交わる部分とか表面板のブリッジの周辺とかフラットでない箇所です。タンポずりの泣き所でもあります。このへんを均一に塗装できれば一人前でしょうか。

 今の季節ならセラックは5分もしないうちに乾燥するのでほとんど休みなく塗装(というよりセラックで磨く行為に近い)ができるので3日もあれば一連の工程はおわります。この一連の工程を3〜5回繰り返します。その間塗膜が固くなるまで2日ほどぶら下げて放置しておきます。


最後は研磨/艶出しです。
 研磨の方法は各種あって例えばカーショップにある「超微細」コンパウンドなんかが手ごろです。フレンチポッシュ仕上げ専用の研磨粉もあります。このとき塗膜が非常に薄いので軽〜く磨くのがコツです。

ただ今回は、相当量のアルコールで希釈したセラックで仕上げずりするほうが綺麗だったので研磨はやめました。


7月下旬 <ナット、サドルの作成/弦高調整>
 いずれも材料は牛の骨を使います。特にサドルは下端面をブリッジの溝底とピタっと密着させること。これにより音の伝達がよくなります。ナットには弦がのっかる溝をつけますが、各弦の太さに応じて専用のヤスリを使います。(道具コーナー参照)

 弦高とは12フレットでのフレット上面と弦の下面の間隙をいいます。クラシックギターはアコギやエレキギターに比べて弦高は高めです。低いほうが当然弾きやすいので、強くはじいてもビビらない最低の高さに調整するのが一般的です。所望の弦高になるようにサドルとナットの高さを調整します。今回は1弦で3mm、6弦で3.8mm程度にしました。

<完成、試奏>
さあ完成です。
なんといっても、完成してはじめて弦を張ってならす時の醍醐味は最高です。
200時間以上を費やして製作した結果が明らかになる瞬間です。

それで、3台ともまずまずのサウンドだったのでホッとした次第。

今回はじめて採用したマダガスカルローズのCRM-03は、他のインドローズのものに比べて明らかにサウンドが違っていて、香ばしい音色と立ち上がりの良さを感じました。

写真は左から、CRM-01、CRM-02、CRM-03。
それぞれのスペックは前記のとおり。

この3台のギター、その後の運命は 。。。。。。。。


 CRM-01 2005.8に売却しました
 CRM-02 2004.8に友人に譲りました
 CRM-03 2005.5に売却しました


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