テジョン国際ギターフェスティバル出展 &ギター工房訪問 レポート Daejeon International GUITAR Festival |
■会場 : Culture & Art Center 屋根がとても印象的な建物でした |
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■テープカット 展示ギターを背に、ステージに向かっておこなわれました 中央あたりに製作家の松村雅亘さんがおられます |
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■展示風景 韓国18、日本11、ドイツ3、ブラジル1 計33名が出展しました ギターを2台出している人も大勢いました |
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■ブース 筆者のブースです このようにパネルが提供され、自由に写真などをレイアウトできます 写真の説明文は事前に韓国語に翻訳してくれました 翻訳者の Uhm Honsik さんには滞在中つきっきりでお世話になりました 今回の訪問が楽しくて有意義で全員無事だったのは彼のおかげです 私はパリでステファノ・グロンドーナさんに弾いてもらった写真や、 ロマニリョスのギター製作講習のときの写真などを展示しました |
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■ギター製作家 松村雅亘さんの講演 松村さんは今回の日本訪問団のリーダーです これまでにも、ギター製作技術またギター文化の発展のため 何度も韓国を訪問されています パリでの修行や師匠であるロベール・ブーシェ氏とのお話など、 たいへん興味深い内容でしたが、時間が足りずに省略を余儀なくされたのが 残念でした パソコンと大きなスクリーンを使って日本語でプレゼンされ、 上記で紹介した Uhm Honsik さんが韓国語に対訳されました |
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■試奏 展示してあるギターは、みなさん自由勝手に手にとって弾いていました 日本人は作者に了解を得てから弾いていたようです 私のギターも大勢の人に弾かれました みなさん上手で扱い慣れていたので心配は無用でした I like this. How much? と本気で訊いてくれた人がいてちょっと心配しましたが 高すぎたのか、結局それだけでした 肘掛イスだったのがちょっとギターには合わなかったようです |
■ 展示ギターのデモコンサート 別の建屋にある小ホールで、2日間にわたってすべての製作家のギターが演奏されました そのホールはおそろしくデッドな空間で、生の音というか裸の音だけが聞こえてくるようで異様な感じでした 写真は左から、 私のギターを弾く 藤垣秀雄さん 松村さんのギターを弾く Jungsil Suh さん 寺町さんのギターを弾く 井上仁一郎さん 藤垣さんが弾かれたのは、 タレガのマリエータ、マリーア、エンデチャ・オレムスとリョベートのアメリア姫の遺言、そしてプーランクのサラバンド 私のギターとは現地で初対面にもかかわらず、ホールで聞いた中で最も心にしみる音楽でした それとギターのキヤラクターが曲想によくマッチしていた気もしました |
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■印象的なギター 他人の音がやたら大きいので → 負けじと大きな音で弾く この循環で場内はまさに音の嵐なのですが、 関係者もお客さんも十分に楽しんでおられたようです 私もほとんどのギターを試奏させていただきました 印象的だったのは、ドイツの Kazuo Sato さんの松・ハカランダの最新作です 明らかに一線を画した鳴りのよさで、音の分離も申しぶんありません しかもどのポジションでも関係ありません 音楽的・藝術的な要素はとても私には評することができませんが、 それ以前に物理的にまず素晴らしいと思いました Satoさんは例の「洗濯板」を内側に貼っている私のギターを見て 「おれの頭の中にもこんなイメージがあるんだ、これはいいと思うよ!」 先進的で仕事に厳しそうな方でしたが、伺えばなんでもオープンに 教えていただけるので、とても勉強になりました もうひとつ紹介したいのは、茨城の高橋達男さんの杉・アマレロのギターです 音も容姿もかわいらしくて上品で、オイルフィニッシュも決まっています 欲しくなりました 写真上 左から、 コンサートで私のギターを弾いてくださった藤垣さん、筆者、Kazuo Satoさん 写真下 高橋さんのアマレロのギター |
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■コンサート 展示終了後に会場に併設する1500人は入りそうな大ホールで開催されました(有料) 格式が高いホールだそうで、休憩後の入場時にもきちんとチケットをチェックされました 26日 : フランスのギターカルテット 名前は『バリオス・マンゴレ』 素晴らしく上手だったそうです 私たちはコンサートに行かずホテルに戻って食事、そして韓国でも有名な温泉へ 徒歩で10分でした 日本の「スーパー銭湯」のような感じで露天風呂もありました 入湯料も銭湯なみです 27日 : 橋口武史さんと Takeo Sato さんのコンサート PAを使っての演奏でした ライブ感は十分ありました 橋口さんは松村ギター 、 Satoさんはお父さんの Kazuoさんのギター(展示品ではない) でした これならば、1曲ぐらいマイクなしでという演出も面白かったのにと思いました Program 橋口さん : ファンタジー Op.59 、 エチュード Op.60-16 Op.31-13 Op.6-11 いずれもソル Takeoさん: Prelude BWV858,BWV999,BWV998 、 アントニオ・ホセのソナタ 、 モンポウのCanco あの広い会場の広いステージでたった一人、おふたりとも見事に自分の世界を表現されました |
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■打ち上げ 27日のコンサート終了後に隣接するレストランでお呼ばれしました 挨拶も乾杯の音頭も何のイントロもなく、席に着けばそれがもうはじまりです 国際的大宴会です ギターや合唱も聞こえてきたりしてそれはもう盛り上がりました 写真上 韓国料理にはハサミが不可欠 鍋の中でお肉を切ったり、キムチを切ったり・・・・ その様子をご覧になっているのは、製作家の阿部康幸さんです 写真下 左から 井内耕二さん、横尾俊佑さん、筆者、寺町誠さん みなさん製作家です 背後のハングル文字がなかったら日本と変わらない雰囲気でした 宴もたけなわとなったころ、ビシっとケジメよく終わって See you agian! この勢いはホテルに戻ってからも衰えることなく、 ギター弾きとギター作りの集いは夜明け近くまで続きました 蛇足 韓国のビールは hite と cass が多かったです 自分としては後者のほうが断然 good でした 焼酎は jinro 日本でもみかけますが、こちらのは少し甘くていくらでも・・・・ 19度ぐらいです |
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■パンフレット B5程度で41ページ 巻末に製作家の広告もあります とても上手にまとめてあると思います 英語併記のところもありますが、それが徹底していないのがお国柄でしょうか |
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■次回のフェスティバル ディレクターの Gregorio Cho さんからのメールによれば、来年11月24日〜28日の開催予定となっています |
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■オム・テチャン (Om Taechang)さんの工房 いま韓国でトップというテチャンさんの工房はホテルからすぐでした テチャンさんは気さくで穏やかな方で、大勢の来客を温かく迎えてくれました 英語もお上手でした 工房には職人さんが3人ほどおられるようです ハウザー工房からという年代物のドイツ松やKazuo Satoさんからの欧州松が うず高く積み上げられていました 分けてほしかったけど言えなかったです ご覧のようにドイツ式ネックで、普及タイプから最高級手工品まで、そしてエレアコも 客層にあわせたラインナップでした 表面板の強度や弾性は、仏のフレドリッシュ氏のような方法で極めて綿密に計測し 数値化されます そのノウハウや測定記録はもとより、何もかも惜しげもなく見せてくれる心の広さは 自信の裏返しでしょうか 大いに敬服しまた共感するものもありました 写真で、私の隣で紺のシャツを着ているのがテチャンさんです 出来たてのギターをチェック/試奏するのは松村さん/橋口さんです ※今回の取材内容や写真のHPへの掲載は快く了解していただきました |
ギターの持ち込み | 行き : かなり席が空いているという理由で5台とも機内持込みOKでした 棚に入らなければ空いているシートにでも置くようにいわれたほどです 帰り : フェスティバルのパンフレットを見せたのが功を奏して、荷物室でしたが丁寧に扱ってくれたようです ただし、万が一の破損でも文句は言わない旨の書類にはサインさせられました |
機内食 | 往復とも韓国のアシアナ航空 2時間足らずでも機内食はちゃんと出ましたが、内容はちょっと・・・ |
物価 | 飲食物とタクシーぐらいしか分かりませんが、ものすごく安かったです (空港の免税店はさにあらず) 日本から買い物ツアーが流行っているのがうなづけます |
人々 | 我々と顔かたちは同じでも、眼光が鋭くて物腰が大げさにいえば戦闘的というか、 男女を問わずそんな印象の人をよく見かけました また一方では、ヨーロッパ的おおらかさ、良い意味でのいいかげんさ、そして自己を顕示・誇示すること・・・ 独立安穏とした島国と、いにしえから敵の脅威に常にさらされて闘ってきた大陸の国との違いなんでしょうか 地下鉄では、若い人の前に立ってしまうと高い確率で「席を替わりましょうか」と言われます 10代の人が30代ぐらいの人に席を譲る光景もみました 目上の人を敬う国でした |
ハングル文字 | 自販機やレストランのメニューや店の看板など、少し読めれば助かるケースがよくあります 子音と母音の規則的で単純な?組み合わせでなので、丸一日ほど辛抱して頑張ればなんとか覚えられます まあ、読み方の教科書を持っていればおしまいですが ローマ字はともかく、町の中で日本語と漢字はまず見かけません |